トラブルの多い雇い止め
有期雇用契約を反復更新していく途中で、契約を更新しないようにすることを「雇い止め」と言います。
そして、雇い止めがどんな場合でも許されるものではなく、その有効性を争って裁判になるようなケースも多くあります。
雇い止めでトラブルになるケースでは、契約更新が自動的に行われていて、実質意味のないものになっていることがあげられます。
たとえば、最初に1回3 ヶ月で契約を結び、その後は新たに契約を結ぶわけでもなく自然に働き続けていることがあります。
経営側から見れば、「この人は3 ヶ月契約」と思っていても、従業員から見れば「最初は3 ヶ月契約だったけど、特に何も言われていないから、このまま続けて働けるだろう」と期待してしまいます。
また、契約更新をその都度行っていても、誰でも自動的に更新されるような状態だと、同様に「契約はいつも更新されるから、契約が終わることはない」と期待させてしまいます。
裁判では、このような“期待” を守る傾向があり、雇い止めが無効とされている事例がたくさんあります。
行政の通達
雇い止めについては、行政から基準が出されていて
■3回以上契約が更新された場合
■1年以下の契約が1回以上更新されて、通算1年を超える場合
■1年以上契約が継続している場合
これらに該当する場合は、雇い止めのときには30日前に予告をし、「期間満了」とは別の理由を明示するようにとしています。
別の理由とは、業務縮小とか業務遂行能力が不十分などです。
有期雇用契約を上手に使うには
そもそも、継続的に雇う見通しが立ったら、期間の定めの無い契約に切り替えることがいいといえます。
しかし、どうしても有期雇用契約にこだわるのであれば、契約更新の際の査定をきちんと行い、更新手続も厳格にして、従業員に「契約がいつも続くとは限らない」と意識付けすることが重要です。
こうすることで、従業員が契約を更新されないことで不服を申し立てないように抑止力とします。
しかし、完全にこれで問題を解決できるものではなく、契約終了の有効性は解雇と同様にケースバイケースの判断となります。
まとめ
このように、有期雇用契約を結んだとしても、極端な話「1回限り」とでもしない限りは、経営側の都合のいいように契約を終了させたりはできないということです。
思わぬトラブルとならにように、契約についてきちんと考え方を整理し、見直しておくことが大切です。
完