はじめに
一般の会社の正社員の場合は雇用期間に定めをすることが無く、その代わりに定年があります。
これは、1年とか3年とか、その雇用期間に定めをせず、特別なことがない限り定年まで働くことができるような仕組みです。
それとは対照的に、パートやアルバイトなどの形態では、1年とか半年といった期間を定めて雇用契約を結ぶことが多く見られます。
これを有期雇用契約と言います。
有期雇用契約が用いられる理由としては、従業員の数を調整しやすい、いわば経営者の都合で簡単に雇用契約を終了させることができると考えられていることが多いようです。
本当に有期雇用契約は、そんなに経営者にとって都合のいい方法なのか、今回は有期雇用契約について解説していきます。
有期雇用契約とは
有期雇用契約の特徴は、その名の通り雇用契約に一定の期間を設けることです。
契約期間の長さは自由に設定することができます。
ただし、原則として3年を超える期間を定めることはできませんので、これだけは注意が必要です。
一般的には、1 ヶ月から1年の間の期間を定めた契約が多く見られます。
たとえば6 ヶ月契約ならば図1のような労働条件の通知を行います。
このように有期雇用契約を結んだ場合、その期間中は何があっても働くことをお互いが約束するものとなります。
従って、従業員を契約期間の途中で辞めさせることはできませんし、従業員も辞めることができないのが本来の趣旨です。
有期雇用契約の実態
本来は有期雇用契約を結ぶ場合は、急に忙しくな
り従業員の増員が必要だったり、季節的な業務など、
臨時的な場合です。
しかし、実態は図2のように一定の有期雇用契約を更新しながら働いてもらうことがほとんどです。
このように契約を更新していくと、それぞれの契約期間ごとに契約期間満了日が訪れますので、どこかのタイミングで「契約期間満了だから、終了です」と言えば、従業員に辞めてもらうことができる。
これが冒頭で述べたような“経営側に都合のいい” イ
メージです。
たしかに、「雇ってみたが、どんな人物か見極めたい」「業績が悪いときに、すぐ辞めてもらいたい」など、経営者としては誰でも思うことであり、悩みの一つであると思います。
しかし、実際はこのような安易な考え方は危険であり、弱い立場である従業員は守られるようになっています。
つづく