はじめに
労務管理というと、法律面のことばかりではありません。
たとえば社員の健康管理とか、人事評価、福利厚生など様々です。
そこで、これまでは法的な労務管理の話題を多く書いてきましたが、そういった話題から少し離れて、今回は「従業員のやる気を引き出すこと」について考えていきたいと思います。
高い賃金
従業員のやる気の源はどこから来るか?と考えたときに、もしかしたら最初に思いつくのは、より高い「賃金」ではないでしょうか。
たしかに賃金は低いより、高い方がやる気が出るというのは正論だと思います。
ある調査によると、23.4%の企業が、高い賃金が従業もモチベーションにつながると回答しています。
およそ4社に1社ですから、これを見ると意外と少ないという印象かもしれません。
賃金は高ければ高いほどいいように思いますが、高い賃金も、それが当たり前となるとすぐに慣れてしまいます。
そう言う意味では、高い賃金は一時的なやる気につながっても、それを維持するのは簡単ではないかもしれません。
低すぎず、高すぎず、適正な賃金額の設定が最も重要で、歩合や賞与など成績に応じて支給するような賃金をうまく使えば、モチベーションアップにつながると思います。
適切な評価
人は本能として「評価をされたい」という想いを持っています。
一般的な人事評価システムでは、仕事のレベルに合わせた評価の基準があって、それに従って個々の従業員ごとに評価項目が決められます。
そして、半年~1年ごとに、成果や達成度などを評価して、その結果を賃金などの処遇に反映させます。(図1)
従業員がいい評価を受けることができれば、賃金が上がったり、役職に就いたりと、モチベーションを上げる要因となるでしょう。一方で、評価制度があっても評価設定が適切ではなく、いわゆるハードルが高い状態だと、なかなかいい評価を得られなかったりしてかえってやる気をそいでしまうかもしれません。
また、従業員が評価されているのかわかりにくいような場合には、やる気が出にくいです。
たとえば、一応定期的に評価されるが、何が評価されるのかそのときにならないとわからないようなケースです。
何を評価するのか予め明らかにして、それに向けてがんばってもらうというのが正しい順序でしょう。
評価はなかなか難しいと言うことで、まったく評価せず無視することは最も悪いケースです。
従業員の働きに対して、いいとも悪いとも言わないのは最も良くありません。
悪くても評価される方が、無視されるよりずっといいのです。
最初に一般的な評価制度の話をしましたが、このようなかしこまった制度が無くても、従業員が良くやってくれたら感謝の言葉を伝えることや、問題があれば適切に指導するなど、日頃の心配りを大切にするだけでも効果があるでしょう。
つづく