◎ 四肢をつなぐ関節のメカニズム(その2)
■滑膜関節の特徴とその流体力学的機能
滑膜関節には、その運動様式に応じてさまざまな構造が存在することを前節で述べた。だが、関節構造はさまざまでも、それらに共通するものを備えている。
それは、関節包、滑膜、関節腔、滑液、関節軟骨などの組織を持っていることである(図11)。
そして、それらの諸組織の共同作業により流体力学的機能を生み出し、頻回な関節運動を可能にしているのである(図12)。
1.流体力学的機能とは
関節面が相対運動を行うことによって、まず、摩擦熱が起きる。そのために摩耗、精度の狂い、オーバーヒートなどが生じてくる。
もしそのまま経過すれば、関節はやがて破壊に追い込まれてしまう。
そこで、関節面が長期の使用に耐えられるように潤滑物質を関節面に介在させることになる。
この潤滑物質が被膜(薄い液状フィルム)を形成して軟骨の摩擦を防ぎ、かつ、スライド運動の円滑化と衝撃緩和の油圧効果に働くことになる。
この潤滑物質(滑液)は、吸熱性の粘性液体であり、オーバーヒートを回避するための熱交換の循環に働く。同時に、関節面のズレ(接線応力)を調整してくれるわけである。
つづく