◎ 足関節のモーション・パルペーションとマニピュレーション
■下肢帯の構造と機能
3.足根部(図24)
いわゆる足関節は前方移動の支点であり、足弓を形成して衝撃を吸収しつつ滑らかな歩行を助けている。
足根部は距腿関節および7つの足根間関節により形成され、動作としては前者が底・背屈に、後者は共同して内(回外)外(回内)反にそれぞれ働く。
1)距骨下(顆状)関節(Talocalcaneal joint)
後踵骨(凹)関節面(距骨下面)と後距骨(凸)関節面(踵骨上面)から成る顆状関節であり、踵部の三角靭帯および踵腓靭帯により補強されている。内、外反時に踵骨が距骨に対してわずかに回外、回内に働く。
2)距踵舟(楕円)関節(Talcalcaneonavicula joint)
距骨と踵骨で作る2つの関節のうち、前者のそれに舟状骨が加わり、距骨の舟状関節面と前、中踵骨関節面が凸、舟状骨の後関節面と踵骨の前、中距骨関節面が凹で形成された楕円関節である。この関節が底側踵舟靭帯(舟状骨の固定)により補強され、内、外反時にわずかに滑る。
3)踵立方(半)関節(Calcaneocuboid joint)
踵骨の立方骨関節面と立方骨の後関節面より成る半関節であり、背側、底側の踵立方靭帯と長足底靭帯により補強されている。
同関節は距踵舟関節と連動して働き、この2つを合わせてショパール関節(Chopart joint)と呼ぶ。
4)楔舟(半)関節(Caneonavicular joint)
舟状骨および3個の楔状骨により作られる半関節である。内側、中側、外側の3つの楔状骨は横足弓を形成し、骨間楔間靭帯・骨間楔立方靭帯などにより補強されている。
5)楔立方(半)関節(Cuneocuboid joint)
楔状骨と立方骨で形成される滑膜を備えた半関節である。足骨・足底・骨間の各靭帯により補強され、動きよりも横足弓の維持を助けている。
6)楔間(半)関節(Intercurneiform joint)
楔状骨間により形成された平面状の半関節で、楔立方関節と同様に滑膜を備え、楔舟関節と関節包を共有する。動きよりも横足弓の維持に働く。
7)立方舟関節(Cuboideonavicular joint)
立方骨と舟状骨との間の線維性結合による関節とされる。この2骨は楔間関節と同様、足背・足底・骨間の各靭帯により結び付けられている。
8)距腿(蝶番)関節(Ankle joint)
骨下端および内、外果と距骨の間で形成された蝶番関節である。骨の下関節面、内果関節面ならびに腓骨の外果関節面(いずれも凹面)と距骨滑車(凸面)より成り、同滑車は背屈すると関節窩に左右から挟まれて締まる(安定)。
関節包は緩く内側(三角靭帯)、外側(距腓・踵腓靭帯)により補強されて、とくに下横腓靭帯が関節窩を深め、距骨の収納を助けている。また、距骨には筋の付着がないため、他の関節と連動し、前、後距腓靭帯がそれぞれ距骨の前方、後方移動を防いでいる。
このいわゆる足首関節は、体重を足底へ分散させるとともに、足の運動の支点の役を果たし、底・背屈に働く。内・外果を結ぶ運動軸は外側に10°~15°傾いている。
4.腓結合
骨と腓骨は、その上端では半関節を、また下端では靭帯結合(Interior tibiofibular joint)をそれぞれ形成し、骨間では骨間膜で連結されている。また、外果から来る下横腓靭帯により補強される。
この部位は、動きよりも深腓骨神経および骨神経からの関節枝が分布していることに注意すべきであろう。
5.足弓
いわゆる足の3つのアーチは、体重の支持と緩衝および足弓自体の保持に働く。内側縦アーチ(土踏まず)は、踵骨、距骨、3個の楔状骨、第1~3中足骨ならびに長足底靭帯、足底踵舟靭帯、底側中足靭帯、足底腱膜などにより形成される。
外側縦アーチは、踵骨、立方骨、第4、5中足骨、長、短足底靭帯、足底腱膜などにより形成される。横足弓は足底腱膜および各レベルの足底固有筋により形成されている。