◎ 四肢をつなぐ関節のメカニズム(その5)
■関節の治療へのアプローチ
関節にサブラクセーションが存在すると、筋の短縮や持続的な伸展が起こる。例えば不良姿勢や疲労の蓄積により筋のトーヌスが乱され、結果として組織損傷が起こり、さらには炎症へと発展する。
そして循環不全による浮腫あるいは発生物質の産生が起こる。
同時に、炎症による浸出液により組織内圧が亢進して組織間の抵抗増大や機械的圧迫による疼痛がみられる。
これにより、筋のスパズムが発生して痛みが悪循環に陥る。
加えて、炎症時に感応する侵害受容器は組織熱の上昇により、その感受性が増大することが知られている。
要するに、それら多くの症状は最終的には関節の機能障害か、ジョイント・プレイの喪失にあると言えよう。
だから、動きが制限されている(正常ではない)関節を分離し、次いで、固定されている方向に矯正することである(この場合、脊柱に関しては複数の方向に矯正する)。
そのためには、
①まず熟練したリコイルやテコ作用によるインパルスを与える、
②ハイパーモビルはリコイルやインパルスにより動きを引き出す必要はなく、矯正を必要としている。なお、メニスカス(線維性半月板)はクリック音を生じ、動きも鈍い。
③急性の痛みがある場合は、アジャストは行わず、身体治療(冷却、物療など)を行う。とくに、動かせる範囲で自動運動を行うようにする。
④いずれにしても、患者から「治す」という気持ちを引き出すことである。
1.視診と検査
・骨を観察する。→骨の末端や滑膜が厚くなる。
・柔らかい組織を観察する。→タップすると液体を感じる、筋肉を消耗する痙攣、腫れもの(遠心性の腫れはリンパ管の圧迫)。
・皮膚の色を観察する。→赤い、チアノーゼ、色素。
・痛みの場所を正確に把握する。→解剖学の部分。
・動きをテストする。→受動運動、能動運動、捻髪音、その後ジョイント・プレイ。
・力をテストする。→受動運動は測りを使って行う。
(0-5正常)。
2.問診と検査
・休んでいれば症状が和らぎますか?(メカニカル)。
・休んでいると痛みが増しますか?(器官の可能性あり)。
・動くと痛みますか?(メカニカル、例えばジョイント・プレイ)。
・その痛みは一測性のものですか?(メカニカル)。
・その痛みは両測性のものですか?(器官の可能性あり、全身または脊椎)。
・患者はある特定の部位に不快感を訴えていますか?(メカニカル)。
・患者は広域にわたって痛みを訴えていますか?(器官の可能性あり)。
・その痛みは刺すような鋭いものですか?(メカニカル)。
・その痛みは深く鈍いものですか?(器官の可能性あり)。
・患者の言うことを注意深く聞きましょう。診断のヒントをくれるかもしれません。
「引き裂かれるような痛みが走った」
→筋肉の損傷「ポンという音を感じた、または聞こえた」
→断裂(例えば骨が少しズレた、肉離れ)。
「動きにくい感じがする」
→関節の機能障害。
・主に痛みを訴えている部分、悪い部分から判断する臨床検査。
心臓の場合は肩、膝の場合は腰、足の場合は膝に問題があると考えられる。
・レントゲン写真→2方向から撮影で比較(伸ばした状態のものも)。
・特殊な検査→研究所での検査、体温トモグラフィー。
3.治癒
治癒に至る一連の流れを図21に示す。