頚椎椎間板や椎間関節、椎体の退行変性が基盤となって、種々の症状を引き起こす疾患である。
首・肩甲骨周辺の痛み、肩こり、腕・手指への痛み・しびれなどを呈す。
しかし画像診断で変性が認められたとしても主訴の原因か否かの評価が重要である。
一般的に中年以降に多い。
■問診ポイント
1.主訴を正確に把握し関連症状の有無を確認。
⇒肩こり(僧帽筋部痛など)のことがある。
⇒仕事等の姿勢・動作が過度の負担になっていないか。
2.上肢へしびれ、手指運動障害を伴う場合は、神経根(脊髄)圧迫の可能性。
3.安静時痛、夜間痛のある場合は、腫瘍性疾患や炎症性疾患を考慮する必要あり。
4.基本的には頚椎の運動に伴って生じる頚部痛。
5.現在治療を受けている場合は、その内容を確認。
6.外傷の有無を確認。(現在・過去)
■症状
・3つに大別できる。
頚椎症状
頚肩部の疼痛、運動制限(長期で進行)など。
⇒起床時などの動作開始時に強い症状が出現し、動いているうちに症状は軽減する。
⇒時には根性疼痛が急激発生。(神経根炎による)
神経根症状
上肢へのしびれ・放散痛、知覚異常、筋力低下、筋萎縮など。
脊髄症状
上肢・下肢腱反射亢進、歩行障害、痙性麻痺など。
■理学所見
1.脊椎可動検査。どの方向への制限があるのか、どの方向で疼痛が誘発されるか。
⇒側屈・回旋が加わる方向への動きにおいての誘発が多い。
2.棘突起叩打痛の有無。一般的に頚椎症では叩打痛は認めない。
⇒叩打痛がある場合は腫瘍性・炎症性疾患の存在を疑う必要あり。
3.頚椎神経根圧迫テストにより、上肢への放散痛やしびれが誘発されれば神経根症の可能性。
⇒電撃痛が発生する場合は脊髄の障害も考慮。
4.神経根症状を有する場合は、責任高位を確定するため神経学テストを行う。
X-ray:椎体前、側、後方に骨棘形成と椎間板腔狭小化が特徴的。
M R I:椎間板の変性の有無とその程度の判定に役立つ。
脊髄、神経根への圧迫の有無、骨棘や 膨隆椎間板などと神経組織の相互関係を確認できる。
C T:横断面で骨棘の有無、形態を評価できる。周辺靭帯の骨化・石灰化とそれらによる脊柱管内の評価に役立つ。