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健康コラム

スポーツカイロプラクティック 3

ライフカイロプラクティックカレッジウェスト卒
広尾カイロプラクティックオフィス
院長 田中 稔久 D.C.,C.S.C.S.

下腿に関するスポーツ障害、シン・スプリントについて
原因、検査、評価、治療法


検査/評価:
 ・痛みは脛骨真ん中から下1/3周辺に表れる。
 ・前部シン・スプリントは痛み以外に脛骨内側から外側に張りも感じる。
 ・後部シン・スプリントは脛骨の後内側から内側または下部脛骨に痛みや張りを感じる。

 これらの症状は影響する筋をストレッチや収縮させると痛みまたは張り感が増す。症状の表れ方はいくつかあり、運動数分後に表れる事もあれば、運動開始直後もある。
または、運動開始から徐々に感じる事もある。痛みは疼痛と張り以外にズキズキ痛む事もある。この痛みは放散痛ではない。

 足の過剰回内の有無、そして非加重の状態で過剰に足関節が底屈していない事も確認する。触診によって、脛骨内側、前外側、後内側に筋の過剰な張りを感じる。前脛骨筋と下腿三頭筋の緊張も感じられる。

 靴の状態も検査内容に含まれる。特に靴底が磨り減ったりして着地時の吸収力損なわれる事ある。身体以外に使う道具の検査も必要不可欠である。過剰な運動によって脛骨のストレス骨折をおこす事があるが、ストレス骨折の症状はシン・スプリントより局部で感じる。

X線の検査を加え骨折の有無を確認し、シン・スプリントであれば骨折はフィルム上で確認できない。骨折を除外するためにX線検査は必要となる。もし、シン・スプリントの治療を行い結果が良好でない場合は、X線検査で確認してもよい。


つづく





スポーツカイロプラクティック 2

ライフカイロプラクティックカレッジウェスト卒
広尾カイロプラクティックオフィス
院長 田中 稔久 D.C.,C.S.C.S.

下腿に関するスポーツ障害、シン・スプリントについて
原因、検査、評価、治療法


種類の解説:
1.前部シン・スプリント:
 下腿前部構造の前脛骨筋、長母趾伸筋、長趾伸筋が影響しシン・スプリントになる。こらの筋群は足底が床に着地した際の抗力を吸収する働きがあり、歩き過ぎ、走り過ぎまたは、硬い床を力強く何度も着地をしている内にこれらの筋また、筋の付着部へ負担がかかり損傷する。

2.後部シン・スプリント:
 下腿後部構造に関する筋群。後脛骨筋、長母趾屈筋、長趾屈筋、ヒラメ筋に影響する。これらの筋群は足関節の安定性に重要とされており、不安定になれば過剰回内になる。


つづく





スポーツカイロプラクティック 1

ライフカイロプラクティックカレッジウェスト卒
広尾カイロプラクティックオフィス
院長 田中 稔久 D.C.,C.S.C.S.

下腿に関するスポーツ障害、シン・スプリントについて
原因、検査、評価、治療法


 今号は膝のスポーツ障害の前に下腿に関するスポーツ障害、シン・スプリントについて原因、検査、評価、治療法を説明したいと思います。
 シン・スプリントとは脛骨の骨膜炎とも言われ、膝下の下腿前部または後部の疼痛また張りなどである。その他、脛骨疲労性骨膜炎、脛骨ストレス症候群、脛骨腱炎、脛骨骨膜腱炎と言われる事もあり、状態は同じ事を示す。


原 因:
 シン・スプリントとは過剰な量のランニングまたは、ジャンピングを硬い床またはグラウンドで行なう事によって下腿の筋や筋付着部が裂傷する事を言う。
その他に履物が関係し、例えば、コンクリート上を走る時はある程度床からの反発力を吸収する靴底の柔らかいものがよい。あまり柔らか過ぎても、次の動作を遅らせてしまう。
靴底や足底板が硬いものはシン・スプリントの原因となる。

履物が良くても、足底のアーチが崩れていればこれも原因の1つとなる。足底アーチ、縦内側アーチ、縦外側アーチと横アーチ1つでも崩れた状態で競技を行なえばそれなりの負担が下腿筋群に影響する。
足の過剰回内はシン・スプリントの原因となる。

 以上が主だった内容になる。
これらの原因内容を踏まえ更に解剖上のどの部位が影響するのか分類する。

 シン・スプリントは2つに分類することができる。
1つは、前部シン・スプリント、もう1つを後部シン・スプリントに分類する。


つづく





論文紹介6 ~小倉 毅D.C.~

(米)ライツウエストカイロ大学元講師 米国公認カイロドクター
学長 小倉毅D.C.


Discussion 考察
 私は数年前に鍼治療による現象の大脳辺縁系との関連の可能性について示唆したが、この仮説は前述の画像研究結果により確認されたといえるであろう。
関与する部位としては、前帯状回、海馬、島、扁桃体、側坐核などがあげられる。

 時々鍼治療の際、特に過剰反応者でみられる感情の高揚状態は、健常者にプロカイン静注実験でみられる大脳辺縁系活動変化によるものと類似している。
Ketterらは、この感情高揚状態は左扁桃体の血流低下と関連すると報告した。また、幻覚、幻聴もプロカインによるものであると報告した。

Servan-SchreiberらのPET研究では、健常者におけるプロカインによる大脳辺縁系周囲活性化は、側頭葉てんかんの前兆でみられる感情的、身体的兆候と類似していると報告された。
これは2つの興味深い点が存在する。最初に、鍼治療を受ける患者は時折てんかん発作を起こすことがあるが、それは単に脳内酸素欠乏によるものではなく、大脳辺縁系への影響である可能性が考えられる。

第二に、特に側頭葉てんかんを持つ患者の鍼治療に対するより奇怪な反応もまた大脳辺縁系に起因するものであろう。このようなケースでは、鍼治療により辺縁系前部の活性化及び不活性化両方がおこることが考えられる。

 大脳辺縁系、大脳辺縁系周囲、特に海馬は記憶の処理及び長期記憶形成には不可欠な部位である。Huiらの報告では、鍼治療時に海馬に顕著なシグナル減少がみられ、この変化は記憶形成への影響を示唆されている。
この記憶への影響は一時的なものであるということはすでに知られている。

 患者の中には、鍼治療後に症状(疼痛)はまだ存在するが、不快感は減少しているというケースがある。この場合、疼痛受容よりも不快感に抗するための前帯状回の働きによるものと考えられる。
Wuらは、鍼治療の効果として疼痛による不快感の減少を報告している。

 これらの研究結果によっても鍼治療の特異的な中枢神経系への影響は疑問視される。また、鍼治療とプラセボとの比較や催眠療法の臨床研究における仮説もまた同様である。さらに、他の手技療法家による逸話的な治療結果も鍼治療研究結果と類似するものと思われる。
従って、多くの物理的療法の効果は鍼治療と同様な脳活動変化によるものと考えられる。プラセボ反応について完全に解明はされてはいないが、脳画像研究により鍼治療と同様の脳部位の関与が示唆されている。

この仮説では、鍼治療は中枢神経系の反応に影響を及ぼすが、鍼治療特異的なものではない。また、鍼を刺す部位、方法には重要性はない。
これらのことから、近年の臨床研究におけるRealとShamとの影響の差を証明することの困難さが理解できる。






論文紹介5 ~小倉 毅D.C.~

(米)ライツウエストカイロ大学元講師 米国公認カイロドクター
学長 小倉毅D.C.

Recent Brain imaging studies 

近年の脳画像研究

いくつかの研究で脳の多部位における鍼治療の影響が報告されており、それらは偽ツボ刺激ではなくReal Acupunctureのみでの変化である。
Huiらは、LI4の鍼刺激を感じ取った11人全ての被験者の側坐核、扁桃体、海馬、被蓋前部、前帯状回、尾状核、被殻、側頭葉、島にシグナル減少及び体性感覚野にシグナル増強がみられたと報告した。

また、鍼の刺激ではなく痛みとして感じた2人の被験者では、前帯状回にシグナル増強がみられた。
LI4浅部触覚刺激では予測通り体性感覚野のシグナル増強がみられ、深部構造に同様な変化はみられなかった。
筆者らは、皮質下組織の調節機能が鍼治療効果において重要な役割を果たしていると仮定した。

Wuらも類似した研究報告がなされている。LI4、ST36の刺激で視床下部、側坐核、にシグナル増加が、前帯状回後部、扁桃体、海馬にシグナル減少がみられ、偽ツボ刺激ではこれらの変化はみられなかった。
筆者らは、下行抗侵害受容機構の賦活化と疼痛関連大脳辺縁系の不活性化を結論付けた。

これらの研究は興味深いものであるが、脳における影響は鍼治療特異的なものではない可能性がある。
その理由として、プラセボクリーム治療時の患者における研究でもごく類似した結果が報告されている。

Wagerらのプラセボ麻酔薬を使用した研究では、疼痛時の視床、島、前帯状回に活動減少、前頭前野に活動増加が報告されている。その他、複数の類似した鍼治療に関する研究報告が存在する。

催眠療法に関する研究でも類似する結果が報告されている。RainvilleらのPET研究では、大脳辺縁系活動の変化なしで被験者の不快感に変化がみられたと報告されている。
従って、この研究結果も鍼治療の研究結果と同様であると考えられる。
Faymonvilleらも良く似た結果を報告している。

更に注目すべき研究結果として、プラセボ麻酔薬は脊髄及び脳に影響を及ぼしたという感作現象化を強調するような報告がある。5分間45度の皮膚温熱及びプラセボにより被験者の機械的痛覚過敏を誘発した(プラセボでは痛覚過敏部位の減少が
みられた)というものである。

 まとめとして、鍼治療において疼痛伝達、疼痛受容に関連する脳の複雑な変化が存在することは明らかであるが、それらの特異性については不明瞭であることがいえる。


つづく