これより、一つ症例を挙げて説明します。今後の参考にしてください。
症例Ⅰ
22歳男性、大学野球選手、投手。
症状と徴候は利き腕の右が思ったように上げられず、無理に投げ続け、肘を故障する。
検査内容
立位で右腸骨稜とPSISが下がり、道仙腸関節間上部1/3が若干開き気味。この状態は左腸骨稜を若干挙上させる。右腸骨の状態は股関節屈筋群を短縮させ、腰椎椎体部を右回旋させ、若干左凸の配列になる。骨盤の傾斜は柱となる腰椎を歪め不安定性をつくる。脊椎の働きは、身体の動きに対する衝撃吸収と動きの滑らかさの供給がある。しかし、配列異常と可動関節の減少は脊椎の働きが損なわれるため、痛み以外にスポーツ競技のパフォーマンスに影響する。下部胸椎第10から第7まで後湾しつつ右へ側湾する。この配列が頭頚部を前方へ突出させ、右肩甲骨を挙上させる状態をつくる。ご存知のように、肩甲骨の拳上位は腕の外転や屈曲可動域を制限させる。
このアスリートに実践と同じように投球をさせ、投球フォームを観察する。前脚の左が着地し、ボールをリリースする瞬間、前脚の膝が外に曲がった。左膝が内反した状態である。上半身は左に倒れるような姿勢になるが、右腕でその傾きを修正しようとし、リリースポイントがずれてしまう。もちろん、胸椎の歪みがあるため胸が前に張れず背中が丸い状態で投球するため、球威もコントロールも悪くなる。
治療
このアスリートに求めているものは、腕が思ったように挙げられず手投げ状態で投げ続けてしまった為肘を故障してしまった。この状態を治して欲しいことである。先ずはアスリート要望に応えることから始める。見方の順序を解説しよう。
次に続く