鶴ヶ島カイロプラクティックセンター 院長
船戸 孝俊B.S.C.
今回は、宇宙医学の分野から筋肉を例にとって身体を動かすことの重要性を考えていきたいと思います。
「まるで鶏の脚ではないか」
これは、1965年にジェミニ号に登場したチャールズ宇宙飛行士が無事に宇宙から帰還した時に、仲間の宇宙飛行士が発した第一声だそうです。
チャールズ飛行士は、最長8日間の宇宙空間での医学実験を終えて無事に帰還し、ジェミニ号と共に回収された空母艦の甲板の上で、筋力が衰えていないことを示すために腕立て伏せをやって見せたそうですが、明らかに脚がやせ細って筋力が落ちていた状態になっていました。
さて、これはどのような現象からくるのでしょう。
地上で重力に対応する筋肉群は、無重力の中では重さを支える必要がないので、働かなくなっていきます。重力がなければすぐに衰え始めます。
同じことは、地上で長時間脚を使わなくなった場合にも言えます。つまり体重を支えないということは、筋肉に休暇を与えているようなもので、決してよいことではありません。すぐに筋肉はやせ細り、筋力や筋持久力までも衰えていきます。
最も強い影響を受けるのが下肢の筋肉で、次に腰筋群、背筋群、頚部の筋群が弱くなっていきます。
筋肉には、大別して「伸筋」と「屈筋」があり、この場合抗重力筋の伸筋群がかなり強い影響を受けていることがわかりました。
次に続く