はじめに
労務管理の中でも、労働時間管理は地味な存在ですが、その果たす役割は重要です。
また、きちんとやればやるほど、手間ひまのかかるものです。
今回は、労働時間の管理ができていないときのリスクと、管理をきちんとするためのポイントについて解説していきます。
また、4月から労働基準法が改正されますので、今回は改正の内容についてはふれませんが、法改正により労働時間管理や残業代の支払いなどにいて、指導が強化されていくことは予想されます。
労働時間管理とは何か?
労働時間管理で最も代表的な方法は、タイムカードでしょう。
出勤と退勤のときにガチャガチャと押す、あの方式です。
今、「出勤と退勤に・・・」と言いましたが、タイムカードをいつ押すのか、そのタイミングは結構大事なことです。賃金の計算はこのタイムカードの時刻をもとに行われます。
しかし、タイムカードの時刻だけを信じて計算すると、「特に仕事はないが、早く来た」場合や、「仕事が終わって、同僚としゃべっていたら遅くなった」ような場合には、労働していない時間にも賃金を支払うことになってしまいます。
「実際はタイムカード通りには払っていないよ」と言う場合もあるかもしれませんが、ここで重要なことは、タイムカードという客観的な記録が残ることです。
記録通りに賃金が支払われていない場合に、労使間でトラブルになって分が悪いのは治療院側です。
できる限り「労働時間」の記録を残し、その分の賃金を支払っておくことが重要です。
また、一方で従業員がいつ来ていつ帰ったかという記録も、実は重要です。
たとえば、仕事が終わったあと帰るまでの時間に開きがある場合、その従業員はいったい何をしていたのでしょうか。
美容業界などではよくありますし、この業界でもあると思いますが、仕事が終わった後に技術習得のために練習をすることは珍しくありません。
そうすると、この時間は労働時間にあたるのかということは、よく問題になります。労働時間と判断されれば、賃金が発生することになります。
これ以外にも、労働時間と在社時間に差がある場合には、その理由を明らかにしておくことが重要です。
これは、賃金だけの問題ではなく次のような理由もあります。
(1)理由無く残っていることを防止する。(規律性)
(2)実際は長時間の労働になっていないか把握する。(健康問題)
つづく