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健康コラム

論文紹介:慢性頚部痛・上背部痛患者における脳血流 3

結 果

   ・年齢によるグループ間の有意差無
   ・グループ2,3には女性がより多く分類された。
   ・NDI及びVASスコア:グループ3>2>1
   ・segmental dysfunctionスコア:グループ3,2>
 1;2,3間では有意差無
SPECT解析
   ・グループ1の患者は脳8部位全てで正常範囲であった。
   ・総SPECTスコア(8部位× % reduction; range,
    0-800)
    グループ1;平均9.1±11.6,
    グループ2;140.3±59.7,
  グループ3;150.3±63.6
    潅流減少率:グループ1;1%, グループ2;22%,
    グループ3;23%
   ・分散分析:グループ2及び3で潅流低下
     (F=3.31, P=.001)
   ・グループ2,3で頭頂葉:20-45%低下が75%の患者
 にみられ、前頭葉:20-45%低下が60%の患者にみ
 られた (Yates X2=32.8, P=.000)。
   ・患者の年齢との相関は全てにおいてなし
   ・SPECTスコアとNDI, VAS, dysfunctionスコアとの
 間に強い相関がみられた(Table 2)。
   ・多変量解析ではSPECTスコアがNDIスコア分散に70
    %起因していた(P=.000)。
   ・第2の多変量解析ではNDIスコアがSPECTスコア分散
 に39%起因していた(P=.0002)。
   ・NDIスコアと総dysfunctionスコアを除外すると18%
 のSPECTスコア分散であった(P=.01)。


考 察


   ・本研究の目的は、SPECTを使用することで慢性頚部痛患者の脳潅流異常の有無をNDIスコアにより区別することが可能か否かを調べることであり、本研究結果はそれを強く支持するものであった。

   ・相関解析結果では、LinnmanらのWAD患者に関する先行研究結果と一致した。

   ・NDIとSPECTスコアとの関連については最低でも次の3項目の考察が必要である。
   1.慢性疼痛による脳内変化-現在はエビデンス有
   2.NDIスコアと頚部痛患者の精神的変化との関連-先行研究により証明
   3.身体的異常とNDIスコアとの関連(pain thresholdの低下;central sensitization)
 
   -先行研究により証明

   ・慢性頚椎部疼痛は、侵害受容システム変化による体性感覚、感覚‐運動、体性自律神経機能変化という理論は多数の先行研究により報告されている。

   ・脊柱の痛みによる交感神経節の刺激に起因する交感神経活性-体性自律神経反射→脳潅流低下脊柱可動関節機能不全による侵害受容器の刺激が分節的に交感神経活動を活性し、交感神経節前繊維に反応を起こす。
→節後繊維に情報が伝達され自律神経機能変化(終末器官機能変化)がおこる。

   ・従って、本研究結果はこの体性-(脊柱)-交感神経理論を多少支持するものであろう(Fig.3)。


Limitations(制限)

   ・被験者数がやや少ないこと

   ・SPECT解析が半定量的であること

   ・spinal dysfunction部位の決定に対しunblindedであること(1人の検者)


結 論

   我々は、初めてのNDIスコアによる患者の分類と大脳皮質潅流異常との関連および頚椎・上部胸椎関節機能不全
とSPECTあるいは/及びNDIスコアとの関連を報告する。

Practical Applications(臨床応用)
   ・本研究は慢性頚部痛患者のself-rated disabilityスコアと脳機能(潅流)との関連を示唆した。
   ・本研究では、NDIスコアとSPECTスコアとの間に強い相関がみられた。
   ・頚胸椎機能不全はSPECTスコアに影響を及ぼす。


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論文紹介:慢性頚部痛・上背部痛患者における脳血流 2

背 景

   頸部痛は、一般的に、また筋骨格系疾患臨床において、腰痛に次いで多くみられる症状であり、その慢性化への移行率は高く、日常のQOL低下に起因するものである。

   頚部痛患者への対処及び病理的要因の解明は困難である。
Neck Disability Index (NDI)は1991年に掲載され、頚部痛、特にむち打ち関連症状 (Whiplash AssociatedDisorder: WAD) 患者の重症度の分類と予後評価に有用であるといわれている。
しかし、NDIスコアの身体的、組織的相関関係は注視されていない。

   組織的相関を評価するための方法として、SPECTや他の神経画像による脳活動評価などがある。
Otteらの最初の脳画像研究ではむち打ち症患者の頭頂-後頭皮質潅流低下が報告され、その他いくつかのWAD患者及びnon-WAD患者における脳画像研究が報告されている。

WAD患者を対象とした研究ではいずれも潅流低下が報告されているが、non-WAD患者における研究では潅流低下を示したもの、示さなかったもの両方の報告がなされている。

また、LinnmanらのPET研究(WAD)ではNDIスコアと画像解析結果との間に強い相関が報告されている。

   我々は、NDIスコアによる患者の分類と大脳皮質潅流異常との関連および頚椎・上部胸椎関節機能不全とSPECTあるいは/及びNDIスコアとの関連を仮説に本研究を実施した。


方 法

Study Design
   ・横断的(cross-sectional)相関デザインを使用した。
   ・Russian Governmental Medical University 倫理委員会承認の下実施された。
   ・実験前患者の承諾を得て実施した。

Subjects
   ・Moscow Manual Therapy Centerに来院した慢性 頚部痛・上背部痛患者45人(平均40±10.9歳;男 16人、女29人)(2006年2月~2010年2月)
   ・除外:むち打ち症(current)、動脈硬化症、高血圧症、偏頭痛、糖尿病、鬱病、頭部外傷、発作既往歴、脊椎手術歴、喫煙、薬剤摂取、腰痛
   ・問診により性別、年齢を記録

Measures
   1.NDI:10項目、各項目スコア;0̃5、トータルスコア;50
       2.一人の検者による頚椎、上部胸椎部(肋椎関節を含む)触診→“segmental dysfunction”部位検出
     3.触診時の圧痛レベル(上記検出部位)をVisual Analogue Scale (VAS:0~10)を用いて記録
    2、3を5分間のインターバルで2回行い平均値を記録
   4.SPECT撮像
    検査:上記検査の1~3日後に実施
    15分間休息後、Technetium-99m
    hexamethylpropyleneamineoxime(HMPAO)
    7.5MBq/kgを投与
    20分~40分後撮像
    使用機材:double-head gamma camera system
      Philips Forte
    画像データ:128×128 pixel matrix,
          64 projections 30~ 40 sec./view,
       50,000~70,000 impulses/view
    Technology Jet Streamによりディテクターを患者の頭部により近付けることが可能になった。

   5.画像解析
    生データ→ Butterworth filter →画像再構成
    (Hanning filters, Chang’s method: 8mm widths
 3軸方向の補正)
   6.画像比較
    2人の放射線科医師により評価-visual color scale
 (VCS)による前頭葉、側頭葉、頭頂葉、後頭葉の比較
    1ステップ5% (0̃100%) (Fig.1左端20色下:青→
 上:茶、赤、白:100%) - 10%以上の差異を記録 
 (normal;Fig1との比較)
    Region of interest (ROI)による解析
Data Analysis
   ・全脳、局所脳のSPECTスコアと3グループsegmen
 tal dysfunctionスコアの分散分析(P<.05)
   ・Student t test (pair-wise)の使用
   ・segmental dysfunctionスコア、VASスコア、NDI
 と総SPECTスコア(局所潅流低下率)との間、および年齢、罹患期間における相関解析-Pearsonの相関係数を用いた一側変量(univariate)相関解析(P<.05)
   ・多変量解析(P<.05)の実施


つづく





論文紹介:慢性頚部痛・上背部痛患者における脳血流 1

 今回ご紹介する論文は、世界でも数少ない慢性肩凝り患者の脳血流を調べたものであり、カナダのカイロプラクティック大学とロシア国立大学との共同研究である。

本論文では、慢性肩凝り患者の脳血流減少の報告及び脊椎椎間関節機能不全(Fixation)と自律神経異常との関連が示唆されており、カイロプラクティック施術による自律神経機能改善を証明するための一つのエビデンスとなるであろうと思われる。

以下にその論文を翻訳、要約し紹介する。
Journal of Manipulative and Physiological TherapeuticsVol. 35, Feb. 2012

ABSTRACT

目的:
 頚部痛患者における脳潅流レベル、Neck Disability Index (NDI)スコア、脊椎関節Fixation間、相関の有無を検討する。


方法:
 45人(内女29人)の実験時慢性頚部・上背部痛患者をNDIスコアにより分類した(mild, moderate, severe)。

頸椎、上部胸椎椎間関節、肋椎関節Fixation部位数、Visual Analogue Scale(VAS)による疼痛レベル、Single-Photon Emission Tomography (SPECT)を使用した局所脳血流を調べた。

SPECTでは半定量的解析を行った。
それぞれのNDIグループの総SPECTスコアにおける分散分析を実施した (P<.05)。

Fixation、 疼痛、とSPECTスコア間および年齢と罹患期間との間の一側変量(univariate)相関解析を実施し、その後多変量解析を行った。


結果:
 14人の患者がグループ1(mild)に分類され、SPECTによる脳潅流は8部位全てで全員正常であった。

  グループ2 (moderate)では16人が分類され、頭頂部、前頭部に潅流低下がみられた(20-35%)。
 グループ3(severe)には15人が分類され、グループ2同様、頭頂部、前頭部に顕著な潅流低下がみられた(30-45%)。

 グループ2,3においてグループ1と比較し、有意な潅流低下が観察された。
Fixation部位数とSPECTスコア間において相関が検出された(r=0.47, P=.001)。多変量解析では、NDIスコアがSPECTスコア分散に39%起因していることが検出された。


結論:
 本研究の頚部痛・上背部痛患者において、NDIスコアが脳潅流低下を推測するための指標となる可能性が示唆された。
脊椎関節機能不全(Fixation)は局所交感神経系活性化と関連する可能性が示唆された。
Key index term: Neck pain; Disability; Evaluation; Chiro-practic; Tomography, Emission computed, Single photon; Brain


つづく





海外トピックス~世界のカイロプラクター紹介~

世界のカイロプラクター紹介

クラウディア・アンリグ

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 現在ドクターの多くがカイロプラクティックを単なるヘルスケアの仕事として行っています。
社会に出て、本格的に世界を変える使命を帯びた人のライフスタイルとしてのカイロプラクティックではありません。

 勿論私たちの職業は「症状緩和モデル」にとどまるべきだとする動きがある事は分かっています。
ウェルネス(快適な状態)と予防はまさにカイロプラクティックの真髄です。
この職業があるべき姿で、もしもこの先100年生き延びるつもりであれば、そこに注意を集中しなくてはなりません。
ウェルネスを受け入れていなかったらD.DパーマーとB.Jパーマーが与えてくれた機会を全て逃していたでしょう。

私たちはこの100年間、疼痛緩和ケアを実によくやってきました。
これからの100年間は父親も母親も子供も、みんながカイロプラクティックケアを受けられるウェルネス分野に携わるべきです。

 カイロプラクティックに人々が緩和ケアを受けにやって来るのは、カイロプラクターがその様に案内しているからです。
今ではカイロプラクターたちは、自分達に出来るのは腰痛・頸痛・頭痛の緩和だけだと思っています。

緩和ケアだけを受けようと思ってやって来る患者さんを教育すれば、もっと大勢の人が来院する様になります。
そしてカイロプラクターとして忘れてならないのは、アジャストメントの効力のすごさと、それを当り前と思ってはならないという事です。

カイロプラクターはアジャストメントに着き過ぎず離れすぎない事が大切です。
もしそうなったら関節を巧みに扱うだけの技術者になってしまいます。
世の中にマニュピレーションをする人は大勢いますが、それはカイロプラクティック・アジャストメントではありません。

 多くのカイロプラクターがアジャストメント・アーティストになるほどアジャストメントは患者さんにとってますます大きな効果を持つようになります。

 カイロプラクターが出来る事の中で最もパワフルなのはアジャストメントです。
それがどれほど効き目があるものかを実感出来れば中には「自信」を持てないでいる人も充分に自信をもつ事が出来ます。

 同業の皆さんには、アジャストメントの本源へ戻るという希望を持ち、教育者である事を決してやめないで下さいと念を押して申し上げたい。
教育は開業中、絶えず行います。
コミュニティーの中で最も優秀な教育者になる事、ミッションのうちでもこの部分は決して忘れてはなりません。

何千という患者さんの生命に触れ、感動を与えるカイロプラクターになって欲しいと切に願います。






茨城カイロプラクティック学会 第6回学術大会開催

 2006年に発足致しました茨城カイロプラクティック学会(岡村秀昭会長)の第6回学術大会が12月11日(日)に水戸市桜川の日本カイロプラクティックドクター専門学院水戸校で行われた。

 開会にあたり会長より『第6回を無事に向かえる事が出来ましたのも当会の趣旨、ご協力頂いております、本日発表される先生方、大会準備にご協力賜りました皆様のおかげです。
厚くお礼申し上げます。』と挨拶から同大会は始まった。

 日々、県内の治療で活躍されている先生方による臨床研究・症例発表を行った。会場では、多くの質問などがあり、大いに盛り上がりをみせた。

 参加されたあおぞら整体院 金田誠司院長は、『第6回となる今回もカイロプラクティックドクターだけではなく、異業種から柔道整復師や鍼灸師の発表もあり、大変刺激を受けました。
このような経験は今後の治療家としての引き出しとして、とても大きな財産となると確信しております。

私も『骨格系の変位が原因ではない疼痛性疾患』と称して発表をさせていただきましたが、ご出席された先生方に少しでも良い刺激を与えられていればと思います。

 今後も末永く重ねて開催していただき、我々に情報交換の場と勉強の場を与えていただければと思います。』と有難いコメントを頂きました。

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