腰椎部腫瘍
脊椎(腰椎)に発症した腫瘍病変をいい、原発性脊椎腫瘍と転移性腫瘍に大別できる。
高齢化の今日、転移性腫瘍としての脊椎転移癌は最も多く重要であり、腰椎で約70%を占め、次いで胸椎に多い。
頚椎にも起こる。
■問診のポイント
1.持続的腰痛で基本的に運動による痛みの増強を伴わない。
⇒主として安静時痛が存在する。
2.夜間痛が強く、睡眠が妨げられることが多い。
⇒悪性腫瘍の場合に多い。
3.慢性であることが多い(徐々に進行)。病的骨折による急性疼痛で気付くこともある。
⇒症状が進行すると少しの動作によって激痛が出現することもある。
4.腫瘍の部位により根性疼痛、麻痺症状、直腸膀胱傷害も出現する。
5.過去、現在の病歴や遺伝性も考慮し家族の病歴も確認。
⇒(参考)血縁者問わずに病歴をとる。同じ生活を過ごす≒同じ食生活を。
■症状
腰椎転移癌の初期は、動作によって出現する腰痛ではじまることもあるが、まもなく安静時痛が出現し、憎悪の一途をたどり安静時、就寝時でも激しい腰痛を覚えるようになる。
経過は病巣の拡大進展の早さとほぼ一致し、やがて馬尾を圧迫し下肢運動知覚障害、末期には完全麻痺に至ることも珍しくない。
特徴としては全身倦怠感、食欲不振、貧血がみられる。
⇒馬尾腫瘍も同様で慢性に発症し、次第に腰痛、下肢痛が増強してくることが多い。安静時や夜間痛があることも多く立位や座位で軽減する。
疼痛のみが持続、椎間板ヘルニア様症状を示す、麻痺症状が主体の3つに大別できるが軽度から高度の多彩な症状を呈す。
■理学所見
1.局所の圧痛や叩打痛。
2.疼痛性の運動制限や異常な筋緊張がみられる。
3.診断に役立つ一定の理学所見は得がたい。
4.原発性は仙骨、腰椎レベルに発生多く転移性は腰椎、胸椎に多い。
■臨床検査
血液検査 尿検査 生検査
⇒腫瘍の診断、悪性か良性かの判断として行う。切開生検で確定することが望ましい。
■画像診断
X-ray:骨硬化像、骨解溶像や椎体の圧潰、膨隆、腫瘤の存在を示す。
M R I:病巣が脊椎の長軸方向にどの程度広がっているかを評価。
C T:腫瘍の局在を明らかにする。骨性病変の評価に優れている。
⇒悪性腫瘍は椎体に、良性腫瘍は椎体後方( 棘突起、椎弓、椎間関節)に発生する傾向がある。