カイロプラクティック振興事業協同組合 理事
JCDC札幌校 学院長
川人 誠司B.S.C.
頭 痛
頭痛は頭部、顔面の痛みの総称で、多くの原因で起 こる。かぜ症候群から脳腫瘍、くも膜下出血までの軽重 さまざまな病気などの誘因により出現する。病気以外の 原因によって起こり、繰り返し起こるものを慢性頭痛と呼 ぶ。現在では公共の大きな"健康問題"といわれ、原因の 解明、治療法などについての多くの研究が進められてる。
■問診ポイント
1.一般的問診が基本。特に出現部位と症状を正確に聞く。
2.頭痛と肩こりの相互関係を確認。
⇨肩こり増悪による疼痛の出現は筋緊張性頭痛の可能性が高い。
3.頭痛に伴うあらゆる神経症状の出現の有無。
(運動・知覚障害)
⇨一般的な身体症状(食欲・睡眠・社会・家族歴・精 神状態)などから器質的疾患以外を推察。
4.痛みの強度、頻度、進行状態の確認。
5.発症時期の確認。6か月以内の発症で強い痛みは潜 在的病変を考慮する。
⇨記憶喪失、言語障害などの認識の変化の有無を確認。 6.メディカルの受診歴、治療歴、薬剤の使用と効果。
■症状
一次性[良性頭痛] : 頭痛そのもの以上の危険は及ばない緊張性頭痛、片頭痛、群発性頭痛。
二次性[悪性頭痛] : 潜在的病変によって起こる側頭部動脈炎、高血圧性、くも膜下出血、 急性緑内障等。
片頭痛
前頭部片側にズキズキした痛み(脈動痛)の出現多く 大半が遺伝性と言われている。そのほかには、内分泌系 の変化や電解質のバランス異常によるものなどが考えら れる。前兆症状があり、光や音に敏感に反応し、眼周 辺の痛みや吐き気も訴えることもある。女性に多く約35 歳までに発症する。睡眠、鎮痛剤で軽減する。
緊張性頭痛
後頭部に訴える鈍い痛みや頭部の締め付けが一般的 に多い。前兆症状はなく、ストレスや不安感などの精神 的要因や頭・頚部筋群の持続的収縮に起因し、両側性 に出現し比較的長期間続き、心因性のものはストレスの 減少とともに軽減する。
群発性頭痛
眼窩、前・側頭部に一側性の耐え難い強い痛みが発症する。1週間以内に側頭部に限局される。頭痛の持 続時間は短く、アルコールやタバコで痛みが憎悪する。 純粋な酸素を吸入させることで良化する。40歳以上の男 性に多い。 高血圧性頭痛 後頭、前頭部と頭蓋の中心に痛みが出現する。遺伝的な要素が大きいが、食生活や腎臓などの内臓問題や 多数の要因が考えられる。生活習慣の改善や運動促進 が必要で、定期的な血圧測定で自己管理を徹底するこ とが大事である。
側頭動脈炎
片側性で側頭部に強い痛みが発生する。原因は不明 である。疼痛部位に指などで触れるだけでも極度の圧痛 がある。2、3日で改善がみられなければ精査が必要で ある。
反復性頭痛
薬物反動という現象は頭痛の原因として認められつつ ある。薬を服用し一時的に緩和効果を得ても、効果が なくなれば再び補うために、付加的な薬の服用となり悪 循環が始まる。したがって、患者の頭痛を効果的に治 療するためには、習慣的な服用を止めさせる必要がある。