多くは乳癌、前立腺癌、肺癌、消化器系癌などによ る転移性腫瘍である。椎体や椎弓に発生する。良性の 骨軟骨腫、類骨骨腫などや悪性では多発性骨髄腫、軟 骨肉腫などがある。
頚髄に起因するものの大半は神経線 維腫、髄膜腫などである。
■問診ポイント
1.持続的頚部痛で基本的に運動による痛みの増強を伴わない。
⇒主として安静時痛が存在する。
2.夜間痛が強く睡眠が妨げられることが多い。
⇒悪性腫瘍の場合が多い。
3.慢性であることが多い(徐々に進行)。病的骨折による急性疼痛で気付くことがある。
⇒症状が進行すると少しの動作によって激痛が出現することもある。
4.腫瘍の部位により根性疼痛、麻痺症状、直腸膀胱障害も出現する。
⇒腫瘍により脊髄、神経根圧迫症状呈す。
5.過去、現在の病歴や遺伝性も考慮し家族の病歴も確認。
■症状
骨の破壊が進むと骨折を起こし、些細な頚部の運動です らままならない激痛を生じる。骨片などによって腫瘍自体を 圧迫することにより、脊髄症、神経根症の症状を誘発させる。 脊髄が圧迫されるとほとんどが四肢麻痺を呈す。神経根の圧迫では上肢への痛み、麻痺の例や頚部痛のみの例もある。
■理学所見
1.局所の圧痛や叩打痛。
2.疼痛性の運動制限や異常な筋緊張がみられる。
⇒前屈や後屈で四肢への電撃痛が出現する場合も。多発性硬化症なども考慮。
3.頚部神経根圧迫検査で上肢に痛み、しびれが出現すれば神経根症性の可能性が高い。
4.神経学検査で高位を評価する。
5.診断に役立つ一定の理学所見は得がたい。
■画像診断
X-ray:骨硬化像、骨解溶像や椎体の圧潰、膨隆、腫瘤の存在を示す。
MRI:病巣が脊椎の長軸方向にどの程度広がっているのかを評価。
C T:腫瘍の局在を明らかにする。骨性病変の評価に優れている。
⇒悪性腫瘍は椎体に、良性腫瘍は椎体後方(棘突 起、椎弓、椎間関節)に発生傾向がある。
■臨床検査
血液検査・尿検査・生検査。
⇒腫瘍の診断、悪性か良性かの判断として行う。
切開生検で確定することが望ましい。