頚部に無理な力が加わるのが原因。寝相が悪い、深酒をして寝る、乗り物の中で寝る、慣れない柔らかすぎる枕で寝るなど、頚部に負担をかけることが起因になり頚部に痛みを発生させる。
一般的に朝起床時に起こったものをいう。中高年初期に多いともいわれる。
■問診ポイント
1.一般的な問診が基本
2.日常で多い姿勢、動作や症状出現以前の頚部の状態や状況を確認。
⇒労働者の場合は作業内容の確認も必要。
3.来院時までの症状の経過は詳細に聞く。
⇒特にその症状を解剖学・運動学的に分析し、どの関節、筋肉がストレスを受けているかを考える。
4.何をすると辛くなるのか、何をしているときが辛いのかを聞き出す。
⇒特にその状態を解剖学・運動学的に分析し、どの関節、筋肉がストレスを受けているかを考える。
5.頚部痛以外の症状出現の有無。
⇒斜角筋による腕神経絞扼症状や頭痛の出現の有無の確認も大事である。
6.以前にも同症状の経験がある患者には、そのときの経過、治療、処置の有無と効果を確認。
■症状
初期では痛みによる頚椎の可動制限を。特に回旋・側屈運動時に疼痛が出現することが多い。
自動車などの運転による発進・停止・振動によっても疼痛が誘発されることが多い。
一般的症例を見ると2~3日でほぼ軽滅する。一週間以上経過しても改善しない場合はほかの疾患を考える。
■理学所見
問診、症状を確認した上で重要視しなければいけないのが、炎症の有無、経過状況である。
痛みが増強しているのか、軽減しているのかによって判断し、炎症症状による特徴を十分考慮することが大切である。
1.視診:前・後・側面からのバランス、各ラインをチェック。
⇒頚をはじめ脊椎の生理的弯曲の状態、側弯の有無を確認。
2.可動テストによる自動、他動時の部位・症状の出現または変化を確認。
⇒できる限り筋性か関節性かの判別。
3.触診による頭頚部、上背部や肩関節周辺部の筋の緊張状態、圧痛点を確認。
⇒「肩こり」の項参照。
4.患者の(片側)胸鎖乳突筋の過緊張により、斜頚位の存在も少なくない。
■治療のポイント
炎症が考えられる場合は、冷却や休息(RICE)の必要性を指示し、治療内容を判断し、治療後の結果を推察し、患者に対して的確な説明が求められる。
これから予想される痛みの経過を把握した上で、どうアプローチ(急性期治療)をしていくかが重要である。
■画像診断
器質的疾患の可能性があれば、X-ray、MRI、CTなどの画像診断を進める。特にX-rayでの椎骨間不安
定性の確認は必要。しかし画像診断所見から症候性か無症候性かの判断はできない。