労働条件を再確認しよう ~ブラック治療院と いわれないために~第22回(1)
たや社会保険労務士事務所 田谷 智広
 ■ はじめに
みなさんも耳にしたことがあるかもしれませんが、最近巷では “ブラックバイト” という言葉を 聞くようになりました。数年前からブラック企業 という言葉が出てきましたが、どちらも労働法令 違反やその疑いがあると言う意味で「ブラック」 が使われています。一般的には悪いイメージで使 われる “ブラック○○”。みなさんの治療院もそう 言われることがないように、ブラックバイトやブ ラック企業を反面教師として、もし心当たりのあ ることがあれば、この際に見直していただければ と思います。
■ ブラックバイトの実態
ところで、ブラックバイトとは何でしょうか? ブラックバイトとは、学生アルバイトが劣悪な労 働条件で働くことを強いられているもので、労働 基準法違反またはその疑いのある労働条件で働く ことを強いられたり、ときには会社の損害の補填 までさせられたりと、信じられないような環境に おかれているケースもあります。社会問題化したこともあってか、厚生労働省が実態調査を実施しています。調査結果で浮き彫りとなった問題点は 以下の通りです。
一般的にアルバイトやパートタイマーなどは会 社内での立場としては一番弱いところです。学生 の場合は、社会経験も少なく、特につけ込まれや すいということもあると思いますが、この調査結 果を見る限り出てきた項目自体はブラックバイト 特有の問題点をいうものはありません。学生バイ トに限らず、その他のパート、アルバイト、場合 によっては正規社員であってもこのようなことが あれば “ブラック” と言われても仕方がないとこ ろでしょう。 今回は、上記の調査結果から、労働条件の明示、 労働時間、賃金の支払いについて、問題点と改善 方法について見ていきます。
■ 労働条件の明示は信頼関係の第一歩
労働条件の明示は、労働時間、休日、賃金など 法律で明示する項目が決まっていますので、その 通りの項目を文書で明示するのが一番いい方法で す。文書で残れば、トラブル防止にも役立ちます。 特に、労働時間、休日や賃金は最も重要な部分な ので、ここを曖昧にしないようにすることが重要です。 労働条件の明示は、労働契約の内容でもあります。契約は約束事ですから、約束を守るのはビジ ネスの基本。相手が従業員であっても同じことだといえます。