すぐそこまで来た! マイナンバー制度への 対応について 第20回 (2)
たや社会保険労務士事務所 田谷 智広
■ 気をつけたいマイナンバーの管理
このように、特定個人情報であるマイナンバーについて は、その受け渡しや管理についても、さまざまなルールが 作られています。たとえば、今年10月にマイナンバーの通 知がはじまった後、従業員からマイナンバーを教えてもらわ なければなりません。この際には、かならず利用目的を伝 えることと、本人確認をすることになっています。本人確 認は、下のような方法で行います。また、新たに採用した ときも同様に本人確認をしてマイナンバーを取得します。
Q4-3-1 従業員などのマイナンバー(個人番号)を取得するときは、ど のように本人確認を行えばよいのでしょうか。(略)
A4-3-1 マイナンバーを取得する際は、正しい番号であることの確認(番 号確認)と現に手続きを行っている者が番号の正しい持ち主であることの確認 (身元確認)が必要であり、原則として、
1 個人番号カード(番号確認と身元確認)
2 通知カード(番号確認)と運転免許証など(身元確認)
3 個人番号の記載された住民票の写しなど(番号確認)と運転免許証など(身元確認) のいずれかの方法で確認する必要があります。(以下略)
内閣府ホームページ Q&Aより抜粋
従業員から教えてもらった後は、情報漏洩が無いよう万全 の管理体制が求められます。マイナンバーが記載された書 類の保管場所の限定や施錠、事務担当者を限定する、事務を行う場所を限定するなどの対応が考えられます。正式 な書類でなくとも、メモ書きでもマイナンバーが記載されて いれば、それも管理対象となりますので注意が必要です。 捨てるときも、気軽にゴミ箱に捨てることは厳禁です。シュ レッダーなどで修復不可能にしてから廃棄します。 さらに、マイナンバーを利用した履歴を残すことも必要 です。いつどこで、だれのマイナンバーが何のために利用 されたか記録管理しておくことが必要です。また、マイナ ンバーの記載された書類をどこかに移動する際には、その 移動記録がわかる手段をとるなど、徹底した対応が求めら れています。
■ 目的外利用の禁止
もうひとつ大事なこととして、目的外利用の禁止という のがあります。最初にも述べたように、まず税・社会保障・ 防災分野のみ利用がはじまります。たとえば年金の手続き や、税金の手続きに利用します。一方で、マイナンバーの ような固有の番号は、たとえば社員番号の代わりに使うと か、別の利用方法を思いつく方がいるかもしれませんが、 これは目的外利用ということで禁止されています。決めら れた手続き以外では一切使用してはいけません。 また、この制度に特徴的なのは、マイナンバーを必要以 上に保管してはいけないということです。労務の書類なら 3年保管というものが多いのですが、この期限を越えた書 類にマイナンバーが記載されていたら、破棄するか、マイ ナンバー部分だけ削除することが求められます。必要以上 に持っていることも、目的外利用に該当するからです。
■ まとめ
以上、ざっとマイナンバーについて説明してきました。紙 面の都合もありますが、新たにはじまるこの制度をすべて説明したら、本が一冊書ける量になってしまいます。大事なことは、 確実に従業員からマイナンバーを取得すること、そして、管理 を徹底し、決められたこと以外には使わないことが重要です。