腰椎変性すべり症
態を変性すべり症と呼ぶ。無分離すべり症とも呼ばれている。
脊柱靭帯や腰背筋群の退行変性により、椎間不安定性として椎骨前方支持機能の破綻によって前方へのすべりが発生すると考える。
多くの症例でL4の変性すべりを認める。
■問診のポイント
1.40歳以上の女性に多い。
⇒骨粗鬆症の疑いの有無を確認し、ある場合は軽微な外傷による骨折も考慮。
2.主訴は徐々に発症した腰痛が多い。
3.下肢の根性疼痛や知覚異常(しびれ)、間欠跛行を訴えることも少なくない。
⇒安静時の足のしびれは糖尿病の疑いも考慮する。
4.馬尾障害を呈する頻度も比較的高い。
⇒会陰部のしびれ、絞扼感、残尿管、頻尿、歩行時の勃起などの有無を確認する。
■症状
分離すべり症と同様に労作で憎悪し安静で緩解する慢性反復性の腰痛が主体である。
すべりの程度によって、神経組織の絞扼により下肢のしびれ、脱力感や根性疼痛、そして馬尾性間欠跛行を伴う可能性
もある。
■理学所見
1.腰椎の側弯や前弯の増強あるいは減少など弯曲異常がみられる。
2.腰椎伸展位やケンプ・テストで腰痛あるいは下肢痛が誘発されることが多い
3.ストレイト・レッグ・レイジング・テストが陽性の場合椎間板ヘルニアの合併を疑う。
4.馬尾障害を考慮する場合は足底部や会陰部の知覚障害とアキレス腱反射の低下・消失を確認。
■画像診断
X-ray:側画像で椎体すべりの程度を。椎間腔の狭小化や椎間関節の変形、肥厚を認める。
M R I:硬膜管や椎間孔の狭窄状態の観察に有用。
C T:脊柱管の形態を観察するのに最適で、狭小化の状態を確認。