腰部脊椎症
脊椎症は退行変性によって椎間板、椎体、椎間関節の変性により発生する。
いわゆる加齢変化であり生理的現象である。
しかし画像診断で変性が認められたとしても主訴の原因か否かの評価が重要である。
■問診のポイント
1.一般的に中年以降に多い
2.原因不明で徐々に発症する慢性の痛みが多い。
3.主訴を正確に把握し関連症状の有無を確認。
4.変性状態により、神経根や馬尾障害を呈することも少なくない。
■症状
1.起床時などの動作開始時に強い症状が出現し、動いているうちに症状は軽減する。
2.時には根性疼痛が急激に発生。(神経根炎による)
3.基本的には運動に伴って生じる腰痛である。
4.運動に伴わない疼痛、夜間痛や安静時痛は腫瘍性疾患などを考慮。
■理学所見
1.腰椎前弯減少を認めることが多い。また胸腰椎移行部が後弯を呈し、腰椎前弯の増強も。
⇒弯曲の増強や減少の存在を認める場合は、脊柱起立筋群、大腰筋の筋緊張が考慮できる。
2.腰椎可動検査で後屈での疼痛の誘発が多い。
⇒ケンプ・テストで伸展側に疼痛が誘発される場合は椎間関節由来と推察できる。
3.座骨神経痛や下肢への放散痛、知覚異常が認められるときは、鑑別検査が必須。
⇒椎間板ヘルニア、梨状筋症候群、転移性腫瘍、馬尾腫瘍との鑑別。
■画像診断
X-ray:椎体前、側、後方に骨棘形成と椎間板腔狭小化が特徴的。
変性側弯がみられることも少なくない。
この場合根性症状を伴うことが多い。
M R I:骨棘や膨隆椎間板による椎間孔、脊柱管と神経の関係が明瞭に観察できる。
椎間板変性により椎間板腔狭小化が起こり、椎間板の脊柱管への膨隆がみられる。
黄色靭帯は肥厚して脊柱管へ突出する。
椎間関節の変性が加わると、さらに脊柱管を狭窄させる。
C T:脊柱管の形態を知るには最適である。