恥骨結合は左右の恥骨が正中線上で向かい合ってできる連結である。
結合面は、薄い硝子軟骨でできる恥骨円板が介在する。結合上緑部を上恥骨靭帯、下緑部を恥骨弓靭帯が結合の強化をしている。
恥骨は骨盤アーチの直接的な体重負荷部分ではないが、骨盤前面の支持を補足的に行う。
仙腸関節は脊柱と下肢をつなぐ骨盤との間にあり、体幹の荷重を下肢に伝え、脊柱と骨盤を支持する機能と関節としての可動性を持つ重要な関節である。
一般的に動かないものと考えられていたが、近年の研究により可動性については、明らかになっている。
器質的な問題が認められない「いわゆる腰痛」の原因として、仙腸関節を取り上げることは、今日の整形外科領域においても多くなりつつある。
関節構造としては滑膜性関節と強靭な骨間仙腸靭帯、および強固な周囲の靭帯による繊維性靭帯結合からなる、複雑で特徴的な形態をしているため、可動性は少ないが、腰椎と下肢の緩衝作用をなしていると考えられる。
荷重性の高い構造を持つ関節面は、荷重線に対し垂直に近いため関節機能障害を生じる原因にもなる。
仙腸関節は、外傷や炎症など各疾患に罹患することも多い関節である。また滑膜関節で、可動関節なので変形性関節症も発症する。
仙腸関節の位置は、おおむね第1から第3仙骨棘結節の間に存在し、ブーメラン型といえる仙骨耳状面と腸骨耳状面とで構成され、強い靭帯で結合されている人体の中で最大の滑膜関節である。
関節面上も不規則な凸凹が複雑に組み合っていることが、他の滑膜関節と比べ特徴といえる。
運動として基本的には、脊柱の運動に伴って仙骨の前後屈運動が左右の腸骨間で生じている。(微小ではあるが、動態として屈曲、進展、一方向への側屈、一方向への回旋と複合して生じる動態を併せ持つことが認められている。)
また、歩行時は腰椎や股関節と連動して、左右の仙腸関節は複雑な強調運動が行われていると考えられている。
運動に関与する筋は仙骨、寛骨に付着する筋であるが、主動作筋は存在せずに、周囲筋の相動的収縮により行われることに
なる。
骨盤部に付着しない筋であっても、歩行や姿勢制御に関与する筋は、仙腸関節の運動に間接的な影響を与える。
仙腸関節周囲は前仙腸靭帯、後仙腸靭帯、仙結節靭帯、仙棘靭帯、腸腰靭帯などが存在し、その中でも強靭な後仙腸靭帯は豊富な神経組織を有している。
これらの靭帯は解剖学的関係からも仙腸関節の動的制御に関与しており、運動にも影響を与えている。
完