筋肉の中でも骨格筋に注目して考察を進めていきましょう。
骨格筋には二種類の筋肉があります。
収縮が速い筋肉「白筋」、収縮が遅い筋肉「赤筋」です。
白筋は上腕二頭筋や大腿部の筋肉に多く見られ、陸上競技でいえば、短距離走や、投擲競技など、爆発的な力を出す競技に主につかわれる筋肉です。
赤筋はゆっくりとした動きに対応する筋肉で、脊柱起立筋群や、ヒラメ筋などがそうで、姿勢を保つために収縮した時間を長時間継続しなければならないので、白筋に比べ疲労しづらく持久力があります。(今流行りのコアマッスルなどがそれです)
持久力に適した赤筋は、直立二足歩行が完成する8歳から10歳頃までに重力に抵抗して成長し、抗重力機能を作り上げます。
その後の成長期にどのような運動をしたか、つまりどのような負荷を掛けたかによって、白筋と赤筋のどちらの発達が優位に成長するかが決まってきます。
しかもこれらはその後の後天的な長期にわたっての繰り返し受ける神経刺激の型により、筋線維の特性は変えることができることがわかってきました。
この性質は、脊髄損傷や筋ジストロフィーの患者さん、スポーツで怪我をした人、加齢により筋肉が衰えた人などのリハビリテーションに利用されているそうです。
筋肉は、強くなれば重くなり筋線維も太くなります。
つまり負荷を掛ければかけるほど筋肉はどんどん鍛えられていきます。
逆に、地上でも自分の足で重力に抗して歩くことをしなかったり、負荷をかけることを怠ると筋肉は簡単に萎縮していきます。
誰でも身体の若さを保つために、逞しさや、美しさを求めます。
しかし疲れるからといって駅の階段を避け、エスカレーターやエレベーターに頼ることが多くありませんか。
歩くのが億劫になって、近くのコンビニまでも車などを使用していませんか。
事実50代の後半頃から筋肉は急激に衰え始めます。
特に白筋線維は顕著です。強い力を発揮する白筋がなくなり、赤筋線維が残るようになり、活動範囲が狭くなり、筋肉の働きとしては、重力に対して抵抗することが活動の中心になってきます。
まさにこの時に、若いころにどれだけの赤筋線維を蓄えてきたかがとても重要になります。
十分な筋量が元々蓄えられていなければ、この時期を境にして一気に老化が進むことになります。
今の若い人たちを見ていると、とても心配になります。
つづく