今回は外側膝痛について説明したいと思います。
1.ITB症候群
最初はITB症候群です。
ITBとはIliotibial Band略語で、腸脛靭帯を意味します。先ずはこの部位のスポーツ障害について説明したいと思います。
症状:
痛みの原因はランニングが多く、特にジョギングやダウンヒルの競技によって、膝外側の腓骨頭より指2、3本上の位置に痛みが発生します。
その他に膝の屈曲や伸展時に膝関節から関節音が聴こえることもあります。
決して正常では起こりえない反応である。
原因:
膝を約30°~40°屈曲した状態で繰り返す動作によってこの症候群になると言われています。
ただ、早く走るランよりジョグによってこの症候群になりやすいでしょう。
評価:
膝関節外側から2cm上の位置または、外側上顆周辺に痛みを感じ、圧を加えると更に痛みは強くなります。
膝関節を30°~40°くらい屈曲した状態で患部に圧を加えても痛みは強くなります。
整形外科検査法のOber’sテストにより、腸脛靭帯にストレスが加わり、殿部筋や大腿筋膜張筋に強い張りが発生します。
その他、Noble compression test によって痛みが発生すれば陽性です。
このテスト法は、患者は仰臥位になり患側の股関節と膝関節を約90°屈曲し、Dr.は患側の外側上顆より2cm上に母指を置き、圧を加えます。
母指圧を維持しながら、膝関節を伸展します。
この動作によって痛みが強まれば陽性です。
治療:
第一治療は腸脛靭帯のストレッチです。
ほとんどの文献上にカイロプラクティックの効果は記されていませんが、個人的な意見ですが、ケースによって効果はあると思っています。
カイロプラクティックによる効果は以下の症例を参考にして下さい。
症例:
Aさんはマラソン大会に参加するため、実践練習を週に5日から6日3ヶ月続けていました。
練習開始から3ヶ月経過中に膝外側に痛みを感じ始めました。
症状の初期は膝外側だけでしたが、後に筋膜張筋周辺と仙腸関節にも痛みが出現しました。
検査などの結果、ITB症候群と診断され、腸脛靭帯のストレッチを処方されました。
ストレッチ開始からわずか1週ほどで症状は改善しました。しかし、練習を再開し長距離ジョグを2週間ほど続けると痛みが再
発ました。
腸脛靭帯のストレッチは持続性がなかったことを意味します。
カイロプラクターによる仙腸関節サブラクセーションを改善させてからは痛み表れなくなりました。
Aさんの原因は仙腸関節のサブラクセーションではなく、ITB症候群だったのですが、この症候群が大腿から股関節、殿部そして仙腸関節へと補正変位をもたらしたからで、最初の治療でこの部位を軽視したためだと思われます。
どういった状態または、症状でも四肢に障害がある場合、必ず支持関節である仙腸関節の状態を確認します。
または、仙腸関節の障害は必ず四肢まで検査し、影響していないことを確認します。