要 旨
目的:
本研究は、頚部伸筋群エクササイズ中の実験的頚部痛による頚部伸筋群活動変化を筋fMRIを使用し評価するものである。
方法:
15人の健常者における多裂筋、頚半棘筋、頭半棘筋、及び頭板状筋、2レベル(C2-C3,C7-T1) 左右両側の活動を評価した。
計測は、休息時と頚部伸筋群エクササイズ後に無痛状態、右上部僧帽筋疼痛誘発状態(Hypertonic Saline筋注) で行われた。
結果:
疼痛状態では、多裂筋、頚半棘筋両側C7-T1レベルで活動低下がみられた(P=0.045)。
頭半棘筋では両条件下で有意差はみられなかった。頭板状筋では、左C2-C3レベルでT2上昇がみられ(P=0.008)、右
C7-T1レベルでT2低下がみられた(P=0.023)。
結論:
本研究は、頚部伸筋群エクササイズ中、疼痛発症直後における頚部伸筋群の深部筋、浅部筋への影響を調べた最初の研究である。
本結果は頚椎部外傷早期における頚部伸筋群の評価に有用出来るであろう。
はじめに
頚部痛は、年齢、性別を問わず頻発する問題である。
これまでの頚部痛に関する研究では、頚部筋の活動、構造的変化が報告されており、それらの変化は、発症、持続、再発や障害を示すもので、それらが、患者の評価、治療のための指標となっている。また、過去の頚部痛患者における頚部筋機能を調べるための研究は、主に頚部屈曲筋群に関するものであり、頚部伸筋群の評価を行った研究は少ない。
後頚部筋群は多重層で複雑な構造をしており、それらの活動を調べることは困難とされているが、その活動を検査する一つの手段としてmuscle functional MRI (mfMRI)がある。mfMRIは筋活動による組織内水分の反応としてT2強調画像として反映されるものであり、多くの脊柱筋群の活動評価に関する先行研究において使用されている。
本研究の目的は頚部伸筋群等尺性運動中の実験的頚部痛による頚部伸筋群活動変化を筋fMRIを使用し評価するものである。
つづく