業務委託と労働者の違い
業務委託と労働者との違いについて、大きくは次の3つの違いに注意しておくといいと思います。
①業務委託は時間管理されない
労働者の特徴のひとつとして、会社が始業時刻と終業時刻を決めていることです。
何時に出社して、何時まで仕事をするのか、業務命令で決められているのです。
一方で業務委託の場合は、原則としてこのように命令されて、始業時刻や終業時刻がきめることはありません。
もちろん依頼主である会社が時刻を指定することはあるかもしれませんが、その場合でも、その時刻に仕事を請けるかどうかは、本人の意思で決めることができます。
②業務委託は指揮命令を受けない
労働者は、就業時間中は使用者の指揮命令を受けます。
たとえば、上司がいて、今行うべき仕事について指示があります。
また、会社の営業方針や期の目標などに従って、日々の業務を行います。
一方で業務委託は、依頼主の注文を完成させることが“契約” ですから、原則としてその過程においては自由なやり方で仕事をすることができます。
たとえば、ドクターとして業務委託する場合は「治療をする」ということが依頼主の注文ということになるでしょうし、先ほども例に挙げた給与計算のアウトソーシングでは、期日までに給与計算を完了させることが注文です。
完了までの過程でどのように仕事を進めていくかは、まったく自由です。
そうは言っても、患者さんから見れば、労働者でも委託でも治療院の一スタッフという目で見られますから、治療院の体面を損なうようなことをしたり、施設を使うときのルールを守ることなどは、信義上当然のことと言えます。
③業務委託は報酬を請求する
労働者は①でも述べたような労働時間管理をもとに、遅刻や欠勤があればその分の賃金を引かれ、残業があれば割増賃金の支払いが必要になります。
そして、毎月1回給与として支給されます。また、給与からは所得税や住民税、社会保険料などが控除されます。
業務委託の場合は、契約で報酬が決められていますので、特約でもない限り、時間を基準に報酬が変わることはありません。
また、報酬の支払日も契約の期日で決まり、通常は請求書をもとに支払が行われます。
一部、法律で定められた業務では、報酬から源泉徴収されますが、原則として控除されるものはありません。
つづく