傷口からマクロファージを呼び込むためのサイトカインと同じ信号を、癌細胞も出しているとポラード教授は話しています。
つまり一見マクロファージの裏切りのような行動は、実のところマクロファージは本来の機能を果たしているにすぎないのです。
これまでで思うことは、前回出てきたHIF-1遺伝子の働きと同様に、癌化の第一歩は、体内で起きた何か異常な現象からではなく、全く正常な過程と働きから踏み出されているのではないでしょうか。
正常細胞と癌細胞との境界を明確にすることが出来ないということが、対処の方法をより難しくしています。
私は今回の経験と勉強を通して、癌を異物としてとらえるのではなく、癌もその生命を構成する一部分のような気がしています。
とすればもっと違う戦い方、付き合い方があるように思えてきました。
そんな時に出会った一つの治療法について記したいと思います。
【超高濃度ビタミンC点滴療法】
聞いたことがある人もいるかもしれません。
2005.9.20「米国科学アカデミー紀要」にその論文は記載されました。それから米国では、かなりメジャーな療法として扱われるようになりました。
しかし実際は30年も前に、米ノーベル賞化学者ライナス・ポーリング博士によって提唱されていたのです。
ビタミンCはどのように癌細胞に効くのでしょうか。
実験で、ビタミンCがリンパ腫細胞を消滅させるパ
ターンと、人工的に生成した過酸化水素がリンパ腫を消滅させるパターンとが酷似していることが観察されました。
このことから、ビタミンCが酸化される過程で生じる過酸化水素が、リンパ腫を消滅させる作用を持ってい
るとわかったのです。つまりビタミンC摂取は癌細胞消滅に効くということが証明されました。
しかし過酸化水素は細胞にとっては猛毒です。
では、どのようにして選択的に癌細胞に作用するのでしょう。
この療法は、血管中に超高濃度ビタミンCが点滴により注入されます。
癌細胞塊は組織液のある場所、つまり血管外組織に存在するため、ビタミンCは血管内から血管外組織に運ばれて、過酸化水素を生じ癌細胞を細胞死させます。
しかし疑問がわきます。癌細胞を死滅させるだけの猛毒なのです。
正常細胞には影響はないのでしょうか。
血管内細胞を含む正常細胞には、カタラーゼやグルタチオンペルオキシターゼなどの過酸化水素を分解する酵素を持っているのです。
つまり過酸化水素により癌細胞だけが死滅し、正常細胞には無害ということです。
確かにビタミンCの摂取によりシミやソバカスの予防になったりします。
それもその作用一つのようです。
妊婦中に子宮癌が見つかり、ビタミンCの大量摂取で妊娠期間を乗り切り、無事出産させた実例も聞きました。
今米国では二重盲検法など、国の認定のためのプロセスに入っているそうです。新たなる抗癌剤として、ビタミンCが活躍する日が来るのではないでしょうか。
日本も早く承認してほしいものです。
今思うことは、この得体のしれない癌という病気にたいして、考え方を変える時に来ているのかもしれないということです。
今や二人に一人が癌になり、三人に一人が癌で死ぬ時代です。
せめて自分の家族だけは、QOLを下げることなく守れるように知識を深めていきたいと思います。
最後に、約12年間の長きにわたり投稿してきましたが、今回をもちまして私の記事は終了となります。
組合員の皆様と、同じ時代に同じ時を過ごせ、共に学べることの喜びを日々感じています。
しかし今世の中が混迷の時代となっており、どうかするとこの日本という国はいろいろな意味で、一度崩壊するのではないかと思うくらいです。
日々後悔することなくしっかりと歩んでいきたいものです。
どうか皆様ご自愛ください。
ご愛読ありがとうございました。
完