自然と生理的環境 >> 癌とは何かⅡ 1|健康コラム|日本カイロプラクティックドクター専門学院

カイロプラクティック学校、整体学校の日本カイロドクター専門学院・国際基準の教育でカイロドクターを養成します。

カイロプラクティック学校のJCDC
国際整体技術学園/厚生収健政第572号 カイロプラクティック療法振興事業協同組合認定校

カイロプラクティック学校のJCDC 日本カイロドクター専門学院

東京本校 東京都新宿区高田馬場4-4-34 ARSビルディング 新宿校舎(本校)事務局入学案内係
資料請求
カイロプラクティック学校 TOP学院について授業概要卒業後募集要項
海外研修(人体解剖実習)
有資格者向けサイト
学科別適正診断
カイロプラクティック学校比較
治療院を探している方は
募集要項
イベント情報登録
厚生労働大臣認可(厚生省収健政572号)カイロプラクティック療法振興事業協同組合
バナー
「健康管理士」公式サイト
マンガでわかる!カイロプラクティックドクターへの道
JCDC創立22周年!卒業実績4,600名
テクニックルーム

健康コラム

自然と生理的環境 >> 癌とは何かⅡ 1

 私たちの身体の中には、いろいろな外敵から身体を守る免疫機構があります。
それぞれの役目を持って私たちの身体の中を駆け巡っています。

例えば、体外から細菌やウイルスなどが侵入してきた時に、それをきちんと個別認識をして選択的に退治していく適応免疫、どんな異物であろうと、出会ったらとにかくやみくもに相手を食べてしまう自然免疫などがあります。
その中でも別名大食細胞と言われるマクロファージに注目してみたいと思います。


 人体は約60兆個の細胞で構成されています。
そしてこれら全てが癌化する可能性を持っています。
事実、細胞の癌化は全身のいたるところで常に起きていて、健康な人でも、毎日5千個程度は新たに癌化していると言われています。
しかしその癌化した細胞も片っ端から体内の免疫細胞で退治されていくので、健康な人であればそう簡単に癌は発症しないわけです。

 たとえ癌化した細胞が少々生き延びたとしても、それが一挙に癌細胞の塊になって、その人の命を奪う訳ではありません。
1個の癌細胞の誕生と、それが腫瘍へと成長するまでには相当の時間がかかります。

しかも人間の身体には癌抑制遺伝子があります。
癌抑制遺伝子は、細胞の無軌道な増殖に歯止めをかけます。
癌抑制遺伝子はいろいろな種類があって、癌細胞が増殖するいろいろなレベルで抑制をかけます。
たとえ癌化してしまったとしても、宿主の命を奪うまでには相当の時間が経過するのです。


 従来、体内のいたるところで生まれてくる発生期の癌を退治してくれる主役は、マクロファージだろうと考えられてきました。
しかしマクロファージは死んだ細胞は食べますが、生きている癌細胞は食べないことがわかってきています。
それどころかマクロファージは状況によって、癌を殺すどころか、反対に癌細胞が育つのを助けてしまうという事実がわかったのです。


 癌細胞の周辺にマクロファージが集まってきて、癌細胞の浸潤を誘導している映像を目の当たりにしたときは、かなりの衝撃を受けました。
癌細胞が悪性化する第一歩は浸潤作用です。
癌細胞という全く種を異にする生き物による正常細胞社会に対する侵略のようなものです。
細胞は自分の所属組織に属して、周りの細胞と共同行動をとっている限り良性です。

細胞分裂の過程でミスが起きて過形成を起こし、そこが膨れ上がってコブのようになり腫瘍を形成したとしても、基底膜に包まれた細胞集団として、まとまりのある一つの独立した領域を形成している限りは良性腫瘍です。
しかしその領域を破り基底膜を突き抜けて、周辺の細胞の領域にジワジワと入り込む、つまり、2つの組織の細胞が混在するようなことが起きたら、良性腫瘍から悪性腫瘍に変化したと判断します。

病理学者が顕微鏡を覗きながら注目しているのはそこの部分で、組織と組織の間の配列の乱れと、異細胞の侵入の有無すなわち浸潤の有無なのです。
つまり癌化が始まったかどうかを判断するポイントは、浸潤の有無が重要なのです。
その浸潤の最初の一歩を免疫細胞の大物、マクロファージが助けていたのですからビックリな話です。


 この事実を世に発表した、アルバート・アインシュタイン医科大学のジェフリー・ポラード教授は、マクロファージは死んだ細胞は食べるが、生きている癌細胞は食べないどころか、癌細胞の進行方向にある細胞を邪魔者としてどんどん呑み込んでしまうというのです。

 ではこのマクロファージは、免疫細胞でありながら一種の裏切り行為をしているということなのでしょうか。

 マクロファージの本来の役割の一つに、傷の修復があります。
例えば切り傷が出来たとします。すると傷の周りの細胞たちが、「救援を求める信号物質」「細胞の成長と移動を促す物質」「細胞を壊す物質」つまりサイトカインを放出して傷の修復を行います。
切り傷が治っていく過程で肉が盛り上がっていく現象である、肉芽を形成します。
肉芽形成は、実質的に腫瘍形成と同じなのです。

マクロファージの働きとして知られているのが、異物をひたすら食べていく大食漢細胞としてですが、マクロファージにはもうひとつ重要な役割があります。
創傷を修復するときの現場監督としての役割です。

 傷口の修復手順は、DNAの中に「創傷治癒プログラム」として埋め込まれています。
そのプログラムに従って一連のサイトカインを出していくのが、マクロファージの役目なのです。
通常、傷口が出来ると、身体から盛んに救援を求めるサイトカインが放出されます。
この物質を感知するとマクロファージなどの免疫細胞が集まり、マクロファージは細胞の成長や移動を促す物質を放出します。
こうした物質に刺激を受けて皮膚の細胞が移動し傷口を修復します。


つづく