論文紹介:慢性頚部痛・上背部痛患者における脳血流 1|健康コラム|日本カイロプラクティックドクター専門学院

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健康コラム

論文紹介:慢性頚部痛・上背部痛患者における脳血流 1

 今回ご紹介する論文は、世界でも数少ない慢性肩凝り患者の脳血流を調べたものであり、カナダのカイロプラクティック大学とロシア国立大学との共同研究である。

本論文では、慢性肩凝り患者の脳血流減少の報告及び脊椎椎間関節機能不全(Fixation)と自律神経異常との関連が示唆されており、カイロプラクティック施術による自律神経機能改善を証明するための一つのエビデンスとなるであろうと思われる。

以下にその論文を翻訳、要約し紹介する。
Journal of Manipulative and Physiological TherapeuticsVol. 35, Feb. 2012

ABSTRACT

目的:
 頚部痛患者における脳潅流レベル、Neck Disability Index (NDI)スコア、脊椎関節Fixation間、相関の有無を検討する。


方法:
 45人(内女29人)の実験時慢性頚部・上背部痛患者をNDIスコアにより分類した(mild, moderate, severe)。

頸椎、上部胸椎椎間関節、肋椎関節Fixation部位数、Visual Analogue Scale(VAS)による疼痛レベル、Single-Photon Emission Tomography (SPECT)を使用した局所脳血流を調べた。

SPECTでは半定量的解析を行った。
それぞれのNDIグループの総SPECTスコアにおける分散分析を実施した (P<.05)。

Fixation、 疼痛、とSPECTスコア間および年齢と罹患期間との間の一側変量(univariate)相関解析を実施し、その後多変量解析を行った。


結果:
 14人の患者がグループ1(mild)に分類され、SPECTによる脳潅流は8部位全てで全員正常であった。

  グループ2 (moderate)では16人が分類され、頭頂部、前頭部に潅流低下がみられた(20-35%)。
 グループ3(severe)には15人が分類され、グループ2同様、頭頂部、前頭部に顕著な潅流低下がみられた(30-45%)。

 グループ2,3においてグループ1と比較し、有意な潅流低下が観察された。
Fixation部位数とSPECTスコア間において相関が検出された(r=0.47, P=.001)。多変量解析では、NDIスコアがSPECTスコア分散に39%起因していることが検出された。


結論:
 本研究の頚部痛・上背部痛患者において、NDIスコアが脳潅流低下を推測するための指標となる可能性が示唆された。
脊椎関節機能不全(Fixation)は局所交感神経系活性化と関連する可能性が示唆された。
Key index term: Neck pain; Disability; Evaluation; Chiro-practic; Tomography, Emission computed, Single photon; Brain


つづく