JCDC札幌校 学院長 川人誠司B.S.C.
【骨粗鬆症】
人の骨成長は成長とともに増加し40歳代で最大となった後、加齢とともに徐々に減少する。
特に女性の閉経後は急速に減少する。
骨量の減少と骨組織の微細構造が変化し、
そのために骨がもろくなり、骨折しやすくなった状態を骨粗鬆症の定義としている。
骨折好発部位は橈骨遠位端骨折、胸・腰椎の圧迫骨折、
そして大腿骨頚部骨折である。骨折のない無症状のものを骨減少症ということがある。
■問診ポイント
1.閉経後の女性に多くみられ、やせている人に多い。
2.骨粗鬆症の家族歴や早期の閉経は危険因子となり得る。
⇒遺伝による骨形成不全も関与。
3.食生活の確認
⇒必要栄養素として、カルシウム、マグネシウム。
最近ではたんぱく質も必要といわれる。
⇒腰部隆起の存在は腰推側弯を示す。骨盤傾斜などもみられる。
4.運動量、長期の臥位の有無および日光浴の程度。
⇒骨は外的なストレスにより成長、強度も増加する。
5.続発性の要因として糖尿病、慢性関節リウマチ、甲状腺機能元亢進症、肝疾患など。
6.両側卵巣摘出。(エストロゲンの異常)
7.ステロイドの使用や肺疾患の薬物により進行も。
■症状
腰背部の重苦感、鈍痛や疲労感を訴える。
わずかな外力でも容易に椎体の圧迫骨折を生じ、その数が多くなれば脊柱の後弯変形が起こり身長は短縮する。
腰椎の前弯減少も生じ、慢性腰痛の誘発も少なくない。
加齢につれて女性には骨粗鬆症による病的骨折の頻度は高くなる。
■理学所見
1.胸椎後弯位増強または円背変形。
2.腰椎の前弯減少、消失または後弯変形を呈す。
3.脊椎の圧迫骨折による身長減少。
4.脊椎圧迫骨折急性期は疼痛による運動制限や棘突起叩打痛が認められる。
⇒慢性期は伸展制限があるが、運動時痛や叩打痛が認められることは少ない。
5.神経障害はきわめて少ない。
■画像診断
X-ray : 骨陰影度の減少、椎体終板の骨硬化象、時として椎体圧迫骨折を観察。
■骨量計測
X-ray、CT、超音波を利用し測定をする。
終わり