JCDC札幌校 学院長
川人誠司B.S.C.
≪胸部・腰部の疾患≫
【脊柱側弯症】
脊柱側弯症とは脊柱を前額面から見たときに、脊柱が側方へ弯曲している状態をいう。脊柱側弯の種類は、機能的脊柱側弯と構造的脊柱側弯の2つに大別することができる。定義として機能的脊柱側弯は、単に側弯のみが存在し、椎体が楔状の変形がなく、捻じれを伴わないもので、構造的脊柱側弯は側方弯曲が存在し、椎体が楔状に変形し、捻れを伴っている3つの条件を満たすものである。 X-ray画像で測定し判断される。
・視診のポイント
1.脊柱は側方弯曲すると側弯の凸側が後方に回旋変位する。
2.立体で、肩の高さ、肩甲骨の見え方と位置、ウエストラインの左右非対称の有無を確認。
⇒側方弯曲の肩甲骨は浮き出るように顕著にみられる。
3.前屈位で肋骨隆起や腰部隆起の存在を確認。(アダムの体位)
⇒肋骨隆起は側弯凸側が凹側と比較し約1~1.5cm以上の左右差は胸椎側弯を示す。(肋骨の変形もある)
⇒腰部隆起の存在は腰椎側弯を示す。骨盤傾斜などもみられる。
4.立位から前屈させることにより側弯が消失、または減少する場合は機能的側弯と判別できる。
⇒アダム徴候
5.側弯の分類として、①胸椎側弯 ②胸腰椎側弯 ③腰椎側弯 ④二重側弯がある。
⇒1次カーブの位置により決定する。
■機能的脊柱側弯
一過性の脊柱側方弯曲で捻れを伴わず、原因が取り除かれると側弯は消失する。思春期にみられ、自然治癒する姿勢性側弯、急性の腰椎椎間板ヘルニアによる腰痛、下肢痛によって、腰背筋群の反射・防御性筋痙縮が起こり、腰推側弯が出現する反射性側弯、下肢の脚長差や股関節疾患などによって、骨盤傾斜を生じバランスをとるようになって起こる代償性側弯が代表的である。
次回に続く