◎ 足関節のモーション・パルペーションとマニピュレーション
■下肢帯の構造と機能
6.足底の固有筋
足部は凹凸の激しい地面に適応するために相互に 可動性を持つ多数の小骨および重層する固有小筋群 により構成されている。
第1層)母指外転筋・短指屈筋・小指外転筋
第2層)足底方形筋・虫様筋
第3層)距母指屈筋・母指内転筋
第4層)底側骨間筋・背側骨間筋
7.足の背・底屈筋とその制限因子(図25)
距腿関筋の動きは背屈と底屈であり、距骨下関節のそれは内反と外反である。
内反とは底屈、回外、内転が、また外反とは背屈、回内、外転がそれぞれ組み合わさって起こる動作である。
足の背屈は前骨筋、長母指伸筋、長指伸筋、第3腓骨筋の作用による。踵骨腱、内側靭帯(後線維)踵腓靭
帯により制限される。
足の底屈は腓腹筋、ヒラメ筋、足底筋、長、短腓骨筋、後骨筋、長指屈筋、長母指屈筋の作用による。内側靭帯(前線維)前距腓靭帯および拮抗筋群により制限を受ける。
■関節のモーション・パルペーション上の注意
事項
1.骨体と関節面の動き
①ふつうR.O.M(. 骨体の可動域)で見られるように屈曲、伸展などの運動は関節包外の働きであり、それに伴う関節包内の動き(関節面の位置)が存在する。
②骨体の運動により生じる関節面の働きは主として、一方が移動し、他方が滑るように動く「滑り運動」である。
つまり、人体では一定の接触部を保ち、関節窩(凹面)が関節頭(凸面)の上を滑る点状移動が多い。
③面上移動(双方の面の並行的変化)は、椎間関節のような平面関節に起こる。
④そのほかわずかだが、「転がり運動」と[軸回旋」も見られる。前者は、膝関節などのように両関節面の広さや曲率がそれぞれ異なるため、運動により常に両面が移動する。
後者では、環軸関節のように関節面の中心軸を接触点として、その回りを回旋する動きである。
2.関節の遊び(ゆとり)の存在
①関節には随意運動では見られない動きの状態が存在する。これは、リラックスした状態において、他動運動により関節面がごくわずかに滑る余裕を持つ(Jointplay)ことを指す。関節がそうした許容範囲を持つのは、不時の破壊に見舞われるのを避けるための身体防御(抑制機構)の1つの知識であろう。
②一次的な関節異常とは関節面の緩みの位置(両面の接触が少なく、関節包・靭帯が弛緩)において、関節の遊びをなくし(あるいは遊びを超えて)生じた関節面の微妙なズレを持ったまま(不適合な状態のまま)締まりの位置に固定されるときに起こると考えられる。
③これが、2次的には関節包、靭帯、筋腱などの軟部組織に異常を引き起こす。また、その逆もある。
3.関節に関与する2種類の筋
関節には、関節を動かす筋と、逆に関節を安定される筋とが存在する。したがって、異常のある関節を回復させる際、可動筋、安定筋のいずれか、あるいは両方とも、検査、加療に当たるように心掛けるようにする。
4.足関節の場合
①可動域は、背屈20°、底屈50°、内反5°、外反5°である。
②締まり(C)と緩み(L)の位置に注意する(表1)
5.その他
①ドロワーズ・サイン(前・後距腓靭帯の異常)。
②ラテラル・スタビリティテスト(前距腓・踵腓両靭帯の異常)。
③メディアル・スタビリティテスト(三角靭帯の異常)。
④シモンズテスト(アキレス腱)。
⑤アキレス腱叩打。
⑥チネルズ・フット・サイン(足根管症候)。